歴史に学ぶということ

こんばんは。玉石です。

今日は結構硬い話です。ここで述べることは私なりに勉強して自分なりに考えを纏めたことになります。

さてみなさまは中国が昔「清(シン)」と呼ばれた満州族による征服王朝だったことを覚えていますか。清朝の時代、中国は国境を画定するためにロシア帝国ネルチンスク条約や愛琿条約、イリ条約等を結んだのをご存じでしょうか。

今はロシア領である沿海州とかの国境を画定した国際条約です。

これは当時世界の国際法規体系に初めて中国が参加して国境を画定した画期的な歴史的出来事なんですよ。

それまで中国は、というか漢民族は国境という概念がありませんでした。世界中の陸地はすべて中国皇帝の支配地、外国から来る使節団はすべて朝貢貿易で主君たる中国皇帝に貢物を持ってやってくる人たち、という解釈です。

例えば英国からの使節団は皇帝との礼節を守るように中国政府の役人から命令され(本来はそんな権利は中国にありませんw)、三跪九叩頭礼「三回跪き(ひざまずき)九回頭(で地面を)叩く(土下座です)」礼儀を強要されそうになりました。一応欧米諸国の国際法規では国家元首は平等であり、使節団は国と国家元首を代表して相手国に向かうもので国際礼儀はあっても英国使節はイギリス国王と大英帝国の名代ですから三跪九叩頭なんかしようものならその名誉が傷つきます。

英国使節団はそういった中国の要求を跳ね除けた、というのは世界史の教科書にも載っていますよね。

そう中華思想、つまり中国人、即ち漢民族民族意識とはそういうものなのです。中国人は世界の中心(真ん中の国だから=中国、中華)に皇帝をトップに君臨し、周りの民族は蛮族(つまり四方の民族を北虜・東夷・南蛮・西戎と呼び)として蔑み、中国の支配下にあるものとしてきたのです。

だから蛮族であるロシアと国境を設けてその境の外はロシア領で中国皇帝の勢力が及ばないなんて条約を結んだのはおかしいとなるのです。

また、たまたま十分な勢力がないから蛮族に自由にさせてやるだけで本来力が及べば全て中国皇帝の支配下にあるべきだという考えです。

だから中国皇帝の権威を畏れて朝貢に来た使節団は三跪九叩頭するのは当然という発想になるのです。さてこれは何も近代になって欧米列強が中国付近にやってくるようになったから起こった思想ではありません。

民族意識ですから実は太古の昔からそうなのです。「史記」「漢書」「魏志東夷伝倭人条(いわゆる魏志倭人伝)」などを見ても、日本の風俗は野蛮で如何に中国と比べて遅れているか、そんな蛮族を世界のエリート中国の皇帝陛下は如何に慈しんで憐れんでやったか、みたいな書き方がされています。

日本だけではありません。中国側の事情で侵略された高句麗などは国家が滅びる事態にまでなっています。

そこで日本史を顧みてください。日本の外交戦略は古代から遥かに文明が進み強大な中国から如何に独立を保ち、自立した国家となるか、でした。教科書を思い出してください。

聖徳太子が遣隋使を派遣した時、一度目の使節は「日出ずるところの天子、日没するところの天子に申す」という中国皇帝と日本の天皇を対等にした国書を呈示し、当時の隋の文帝から「日本という野蛮で無礼な国の文書など二度と呈示させるな」と立腹されたのです。遣唐使とか中国に対し、朝貢貿易や臣下の礼を取った使節団もありますが、基本的に日本の外交は如何に中国から独立を守るかが外交課題でこれは現在も変わりません。臣下の礼を取った室町幕府勘合貿易でも足利将軍は「日本国王」を称しましたが天皇に取って代わろうとする野望のあった三代将軍足利義満はともかく、その後の足利将軍の上に天皇がある、つまり皇帝に次ぐ地位であったのは王ですから、天皇陛下と中国の皇帝は対等なわけです。

明治時代に入る前、欧米列強の魔の手が伸びてきたとき、例えばロシア艦隊は対馬の港を占拠してロシア領にしようとしましたが英国の反対で果たせませんでした。

一方朝鮮民族は日本人とは違い、中国の保護を得ることで国家を守ろうとしたのです。従って元寇の時、元軍の主力は朝鮮軍と国家の滅亡で降伏した旧南宋南宋軍をモンゴル人の司令官が率いて侵略してきたように、朝鮮民族は常に事大(即ち長いものに巻かれてその手先となって戦う)が国是であり民族の考えでした。

尊王攘夷に始まる明治維新とその後の明治政府の動きはアジア侵略というよりは弱体化して欧米の食い物とされていた中国や、強い国家から脅されると直ぐに媚び、その帰趨が不安定な朝鮮がロシアを始めとする欧米列強に占領されると国家の脅威となることから朝鮮半島満州から欧米諸国を排除することが安全保障上必須だったのであり、現在は欧米諸国が日本に攻めては来ないものの(ロシアは北方領土4島を不法に占領していますが)、ロシア(ソビエト連邦)、中共南北朝鮮との対峙が安全保障上の課題なのです。

左翼の政治家は日本固有の領土である尖閣諸島を中国と揉めるくらいなら手放そう、としますが、中共は必ず、尖閣の次は石垣・宮古の先島列島の領有権を主張し、恐らく琉球王朝時代には琉球朝貢貿易していたことを理由に沖縄の領有も主張するでしょう。

これらの沖縄の島々や台湾、南シナ海の島々、香港の問題はすべて繋がっている一つの安全保障問題なのです。これらが占拠されたら日本のシーレーン海上輸送路)は中国が意のままにつながるも切断するも自由となります。そしてこれらの問題は中国の軍事力が増す脅威から起こっているのです。

香港の問題は香港の人権問題ではありますが香港の問題は絶対に座視してはいけないのです。またこれらの主張は初めは声が小さなものでしたが、中国の軍事力が増し、軍事バランスが不安定化したために戦争の危機が増しているのです。

戦争をしたいのは安倍政権じゃないですよ、戦争をしてその賠償、戦利品として先ほど述べて地域の領有をもくろんでいるのは中共なのです。

このコロナ騒ぎにもその騒ぎの大本であるくせに連日尖閣諸島にちょっかいを掛けているのはどこの国ですか、中国でしょ?

日本が軍事的に強化されたら必ずその武器を気に沿わない近隣の朝鮮半島や中国に対して使いたくなる等の主張も左翼中心に強いですが、それは昔夏目漱石の小説にあった「柔道を学ぶと必ず人を投げ飛ばしたくなる」「日本刀を持つと試したくなり辻斬りが横行する」というのをそのまま信じているのです。

柔道を学んだら人を投げ飛ばしたくなりますか?剣道を学べば人を斬りたくなるんですか?いやいやそういうことではない。

邪な考えを持つヤツは相手が弱いとみるから脅しにくるのですよ。日本が十分な備えがあれば邪な奴らも手出しはできないものです。逆に日本外交も強い切り札を持つのです。クラウゼビッツの戦争論にあるように。戦争をしたいのは軍人ではないし、また外交のラストカードとして軍事オプションがあるからこそ(使うかどうかは別)外交力も発揮されるし、平和は守られるのです。

防衛費の増額は不要だの不交戦規定のある日本国憲法を護憲するだの言う主張は国際情勢と聖徳太子の頃から如何に強大な中国に飲み込まれないということを外交の基本としたこの先人の知恵に学ばないものです。

そして相手に手出しはさせないが手出ししてこなければ闘わないという高い矜持と強さが自衛隊の皆様にも我々日本国民にもあると私は信じます。

今の中国の動きは要注意ですし、香港や台湾の問題は対岸の火事でも日本の安全保障と関係がないものでもないのですよ。

検察庁法やモリカケ、桜の話、マスクが着かないとか実は枝葉の問題なのですよ。

中国は油断のならない大敵であるくらいの認識がなければ今の生活は守れないし、これは戦争の加害者として申し訳ないからと中国の増長を許してきた主に政権を担当してきた自由民主党の責任なのです。自由民主党はその責任を取りなさい。

安易な妥協をするな、十分に恐ろしい軍事大国に成長した中国を侮らず、過激に中国と手を切れと主張するアホな右翼論人にも振り回されず、冷徹に戦略的に大きく国家の舵取りをすべき状況で、ホンマは左翼右翼ではなく、賢明で理解力ある人が一致してよく考える時期に来ていると思います。時代の変革期に我々は立ち会っているのですよ。